ハイファイブ・エンターテインメントは30日、同社設立の発表会を開催。MMORPG「ブライトキングダム オンライン」など、今後提供を予定するタイトルラインナップや提携企業が合わせて紹介された。
■ 日中韓3カ国の企業の強みを活かした事業モデルを構築
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ハイファイブの澤代表取締役と、ブライトキングダムのキャラクターに扮したダンサーたち
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発表会冒頭のステージでは、澤氏自らも加わった
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ハイファイブ・エンターテインメントは、MMORPG「シールオンライン」や「Dragon Raja」を運営するKESPIの元代表取締役である澤紫臣氏が中心となって2006年2月2日に設立した新会社。同社ではオンラインゲームをはじめとしたオンラインコンテンツの提供を通じて、オンラインエンターテインメントの創出や社会貢献の実現を目指していく。
代表取締役CEOを務める澤氏は、「ブライトキングダム オンライン(ブライトキングダム、韓国原題:Shine Online)」のキャラクターに扮したダンサーとともに登場。社名の由来や同社のスローガンを紹介するとともに、2006年度および2007年度以降のサービス展開について説明した。
2006年度には、オンラインゲームの運営と受託開発を展開。提供タイトルは今回発表された「ブライトキングダム」や「アリアスストーリー」、「WSW(仮題)」が予定され、アイテム課金に近いポイント課金にて運営を行なっていくという。
また、2007年度以降には独自ゲームの開発・運営、韓国や中国、台湾に加え、シンガポールやベトナムといったアジア圏へのサービス展開にも乗り出す考えだ。その上で、同社では、オンラインゲームをベースにしたオンラインエンターテインメントのコンテンツへの進出を図っていく。
上記ビジネスモデル実現のために、ハイファイブでは日本、韓国、中国にそれぞれ拠点を持つ企業と提携。日本ではゲームおよび教育ソフトの開発やキャラクターデザインを手がけるスカラベスタジオ、韓国では「ブライトキングダム」の開発元であるアラゴンネットワークス、中国では「アリアスストーリー」「WSW(仮題)」を開発する北京光宇維思科技有限責任公司(光宇維思:COSWIZ INTERACTIVE)とそれぞれ提携した。なお、光宇維思には資本参加も行なっている。
澤氏は、これらのビジネスモデルや業務提携によって「日本が持つゲームの企画力、韓国のネットワークゲームの技術力、中国の開発コスト力をうまく活かすことができる」と説明。3カ国の特徴を活かした3つのゲーム的強みや、4つの事業戦略、5人の創業メンバーからとった“3-4-High5!”をテーマに事業を進めていくとした。
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ハイファイブ・エンターテインメント概要や会社名の由来について
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ビジネスモデルについて
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■ 「ブライトキングダム」は日本ユーザーに合わせたローカライズを実施
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「ブライトキングダム オンライン」における日本版ローカライズ概要
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発表会では続けて、今後提供を予定する「ブライトキングダム」「アリアスストーリー」「WSW(仮題)」および開発ツールの紹介が行なわれた。
ブライトキングダムは、現在韓国でオープンベータテスト中の3Dグラフィックスを採用したMMORPG。3Dグラフィックス作成にあたっては、テクスチャをカートゥーン加工したのちに3Dモデルに貼り付けるカートゥーンマッピング方式が採用されている。ユーザーは、ファイター、クレリック、アーチャー、メイジの4種族からキャラクターを選択してゲームを進めていく。
「日本版ローカライズにあたっては、翻訳だけにとどまらないローカライズを行なっていく」と澤氏は強調。同タイトルを例に言えば、ゲーム中に登場するNPCのグラフィックを日本ユーザーに受けるデザインに変更するとともに、スカラベスタジオと協力してポスターやパブリシティ用のイラストも新たに書き起こされた。加えて、テクスチャやモデルなどの修正も順次行なうという。
また、「韓国のオンラインゲームは、システムやユーザーが行動可能な部分に魅力がある反面、ストーリーやゲームの世界観など弱い点も少なくない」と澤氏は指摘。「ゲームに登場する噴水を中心とした町ならば、何故噴水が中心にあるのかという説明を付け加えることで深みを与えることが可能になる」と述べ、「世界観に広がりを持たせることで、今後のメディアミックス展開の際に有用になる」と付け加えた。
一方、サービス運営にあたっては、原題である「Shine Online」の“Shine”は読み方によってはネガティブなイメージになり、ゲーム本来の世界観から誤ったイメージを与えてしまうため、「ブライトキングダム オンライン」への名称変更を決定したという。
加えて、ゲーム内にはゲームマスター(GM)に加えて、ゲームアテンダント(GA)という名称のスタッフを登場させる。GMはユーザーのガイド役やサポート、懲罰役などを、GAはゲーム内外でのイベント進行やブログ運営などの役割をそれぞれ担当する。澤氏によれば、GAは同社マーケティング部所属のスタッフが担当するという。
サービススケジュールとしては、4月10日21時からクローズドベータテストに相当する「チェックアップ期間」を開始。続けて、4月下旬にはオープンベータテストに相当する「ブラッシュアップ期間」の開始を予定する。チェックアップ期間のユーザー募集に関しては、後日詳細が告知される。
チェックアップ期間では、「今日のチェックポイント」を随時掲出して、ユーザーにバグなどのレポートを提出しやすい環境を目指す。また、ブラッシュアップ期間にはユーザーが個別に所有できるミニハウスにチャットルームや装飾アイテムなどを実装。加えて、PvP(対人戦)が可能な「サバイバルアリーナ」やペットシステム、ギルド成長システムなどが提供される予定だ。加えて、同期間中にはオフラインイベントも3回開催するという。
なお、澤氏によればブライトキングダム提供にあたっては、「ユーザーの裾野を広げるため、他社運営のゲームポータルサイトと提携する可能性もある」とした。
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ゲーム概要。ルーレットを利用した武器アップグレードや自分の家が持てるミニハウスシステムを用意
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武器名やキャラクターニックネームなどの設定も可能
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日本版ローカライズにあたって作成されたキャラクターデザイン。右上の韓国版NPCのデザインから大きく変更されているのがわかる
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アップグレードした武器にはエフェクト効果も
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ミニハウスは将来的に家型やビル型も提供したいという
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戦闘シーン
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■ ファンタジーMMORPG「アリアスストーリー」と三国志がベースの「WSW」
「アリアスストーリー」と「WSW(仮題)」は、いずれも光宇維思が開発中のオンラインゲームタイトル。アリアスストーリーは4種族が“生命の力”を巡って旅に出るというファンタジーMMORPGで、カートゥーン調のデザインを施したブライトキングダムと比較して、緻密なグラフィックデザインが特徴になっている。
WSW(中国原題:三国鼎立)は、中国・三国時代を描いた「三国演義」をベースにした作品。ユーザーは、三国志の人物をデフォルト化したキャラクターを操作。MMORPG要素に加えて、カードを組み合わせたタクティカルコンバット的な要素も含んでいるという。
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アリアスストーリー概要
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開発中のゲーム画面
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WSW概要
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(左から時計回りで)ゲームに登場する劉備、関羽、趙雲、張飛
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上記2タイトルについては開発ツールも紹介された。澤氏は「開発ツールによって、ハイファイブ側でのローカライズや日本独自のアップデートが可能になる」と説明。加えて、「プログラマー以外でもマップの作成が可能で、工期の短縮にも繋がる」と述べ、今後はクエスト作成などツールで操作可能な範囲を広げていく考えだという。さらにプラグインなどの追加によって、「アクションゲームやスポーツゲームなどの開発も可能になる」とした。
このほか発表会では、ハイファイブとスカラベスタジオによる“ファンタジースペースサーカス”をテーマにしたオンラインゲームの開発を予告。加えて、スロットマシン開発などを手がける山佐との業務提携が明らかになった。ただし、具体的な提携内容については今回の発表会では未発表となっている。
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開発ツール。今後はツール上でクエスト生成も可能にするという
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アクションやスポーツゲームでの運用も
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ハイファイブとスカラベスタジオが企画を進めているタイトル。2006年冬から2007年頃に提供を予定する
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発表会に出席した各社の代表
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■ URL
ハイファイブ・エンターテインメント
http://www.hi5.co.jp/
(村松健至)
2006/03/30 18:53
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